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私にとって二十年ぶりのプロ野球観戦だ。
なんでも松山で巨人戦は五十年ぶりだそうで収容人員一杯の満員である。
照明の照らし出された球場はそこだけ別世界のように存在し緑の天然芝は選手の躍動美を一層引き立てている。
狭くて堅いイスに毒づきながら三塁横浜側に座り三回の表、横浜ベイスターズの攻撃から観戦する。
巨人は工藤 横浜は外人のどちらも左投手の先発だ。
明らかに年上 いや全選手で一番の高齢の工藤が146キロのストレートを投げている。
カーブはブレーキが効いて横浜はランナーを出しても点が入らない。
興奮してしまうアナウンサーやつまらない解説者の声が聞こえない分、選手の動きに見入ってしまう。
横浜の攻撃が終わり巨人の攻撃の番になるや球場は熱気がみなぎってくる。外野スタンドに陣取る私設応援団はトランペットを吹き鳴らし大漁旗みたいな旗が何本も揺れている。
その応援団に合わせてスタンドの観衆はメガホンを叩いて大騒ぎだ。
ん?ここは四国は愛媛の松山じゃろうが? 巨人は東京のチームじゃろ。何で東京のチームを応援せにゃいかんの。
まぁ楽しいんならええわい。
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携帯の着メロみたいに選手ごとの音楽が流れバッターボックスに打者が入る。
ん?また言わしてもらうけんね。二岡!なんでお前のテーマソング 「スカイハイ」なんじゃ お前 歳なんぼぞ?
ほーら 見てみぃ 凡打しよった。巨人はまだヒット一本打ててないわい。ノーヒット喰らうんちゃうか。ざまーみさらせ。
高橋〜 お前を獲るんに巨人は二十億使うたゆうて週刊誌に書いてあったけど、お前はほんまに華のない選手やのう。
打席に立ってじっとしとれ。お?動いたらいかまいが ほれ凡打じゃ。
う!当たり損ねがヒットかいな。一点はしゃーないわい。次の回から横浜の誰か知らんが打てよ。
よーい また零点かいな 今度は工藤に完封負け喰らうてしまうぞ。逆転してみぃや。
ヒーローになったらまた偉そうに訳の分からん大声出しよるぞ。
とブツブツ言いつつ七回を終了したところで席を立った。
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一番見たかったチアガールのダンスもエアロビクス教室中級者コースってな感じでつまらなく外に出た。
昨日の台風が嘘のように空は晴れ渡り初秋の風が吹いている。
また明日仕事かいな
帰り着いてテレビを見ると巨人が勝っていた。
試合経過は巨人先制後横浜が同点にして巨人が勝ち越し そのまま横浜無得点で終了。
お立ち台は?工藤かよ〜↓ 「気合だー!」 なんじゃそれ?アホか!
この試合 一番目に付いたのは私の眼前を遮る朝日スチール製造のフェンスであった。
目障り極まりない。そりゃファールボールが飛んできたら危ないだろうけど動物園の動物の気分だ。
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